あの部屋

どうしたべーって、母親から電話。
今日は忙しかったんだろう。


何が好きかわからない、
なんて重症。


隠れて小さくなって、
こそこそと暮らしていたい、
というか、そういう時間がほしいんだろうな。


泣きたいのに、泣けない。


スピッツじゃ泣けない。
楽しくなっちゃう。


甘えたいんだ。

分かった、正解。

9月になぜ私達夫婦は喧嘩をするのか。


甘えたいから。
お互い。
夏の疲れが出て。
秋の寂しさも交じってきて。


買い物行ってこよう。


そしてご飯作ろう。


何よりの幸せじゃないか。


何か足りない。


足りな過ぎる。


奪われた私の、抵抗するすべはなかった。


だから、泣き寝入り。


自分をごまかしてる。
悪魔の声が恋しくなる。
イジワルになりたくなる。


許さない。

許さない。


今では普通に付き合えてると思ってる?

屁でもないって思ってる?


黒人奴隷時代を描いたドラマ、ルーツ。
あれを見てると、自分を見てるみたいで、
腹が立ってくる。
無性に腹が立つ。
白人の横暴、傲慢、無情、差別。
白人に対する怒りが
自然にわいてくる仕組みになっているんだろうか。
とにかく私はムカついてくる。


被害者になんてなりたくなかった。
馬鹿な人は大嫌い。
心の痛みを知らない鈍感な人なんて、
大嫌い。


そんな人にいつの間にかなっている自分が大嫌い。


だから傷つきたい。
そして泣きたい。


知ってる、本当は傷ついてる。
でも、泣けないんだ。
泣けない。


いつもニコニコしていなきゃいけない。
その強迫観念。
良いお母さん、いい妻。
そんなの、嘘だらけ。
まあ、全然よく無いけれど。
努力している時点で疲れているの。


そのままでなんていられないのは、
わかっているけれど、
かさぶた、干からびたところ、取ってあげたいじゃん。


じくじくする、擦り傷も。
薬ぬってあげたいじゃん。


そんな時間がほしい。


ちょっとの工夫でいいと思う。
できる。
部屋があるのだもの。


そうきっと、あの部屋に行きたいんだ。
きっとそうだ。